ニュースリリース

放射性汚染土容器を開発

 矢吹町様より、放射性汚染土の借り置きに関して苦慮されており、安全に借り置き及び運搬を行える技術提案を求められました。

 弊社、東京セメント工業㈱はこの要望に応えるため、ユニックなどの軽装備で運搬可能な放射性物質を密閉できるコンクリート容器を開発致しました。

放射性セシウムは、水に溶けやすく、非常に細かい物質です。

コンクリートは、多くの微細な孔を有した材料であり、この様な放射性セシウムを完全に密閉することができません。

この容器は、ベントナイトシートを容器内面に一体成形していることを特徴とする容器です。ベントナイトは、膨潤により高性能な不透水層を形成する上、放射性セシウムを吸着するため、放射性物質を逃しません。

更に、ベントナイトの水による膨潤を事前に行い、容器内に水の層を形成することや、緻密な高強度コンクリートを採用し、鉛含有防錆剤による表面処理を行うなど、一般的な同一断面厚の普通コンクリートに比べ遮蔽効果の向上を図っています。

今回のデモンストレーションは、町長をはじめとした矢吹町の方々に立ち会い頂き、遮蔽効果の測定・確認を行いました。

弊社および矢吹町による放射能測定により、環境放射線程度まで遮蔽されていることが確認されました。主な機能を下表にまとめます

用途 放射性物質によって汚染された土や枯葉などの一時保管中や中間貯蔵施設への運搬中における放射性物質の遮断を目的とした製品です。
このため、ユニックで吊上げ・運搬可能な寸法・形状としており、軽量化が図られています。
主な機能 放射性物質遮断効果
福島第一原発より放出された放射性物質の内、大気中を風に乗り、ある一定距離以上移動した放射性セシウムや放射性ヨウ素は、希ガスの状態として放出れました。
これらの物質は、非常に細かくコンクリートの細孔に水などと共に浸透してしまいます。そこで、コンクリート容器内にベントナイト系シートを一体成型することにより、放射性物質の遮断を行っています。
ベントナイトは、水により膨潤し、およそ7倍に膨らみます。このベントナイトに適切な拘束を加えることにより、万が一コンクリートにクラックが発生してもベントナイトがクラックに入り込み、塞ぐことができるなど、不透水層を形成し、放射性物質を遮断します。
更に、ベントナイトは、放射性セシウムを吸着するため、放射性物質の高い遮断効果を得ることができます。
放射線遮蔽効果
遮蔽効果に対する実験を行った結果、放射性汚染土が4~5μCv/h程度の放射線率であれば、60mm厚のコンクリートでも環境放射線率程度まで遮蔽されることが確認されました(投入する汚染物質の放射能に応じて断面厚の調整が可能です)。
また、本製品に用いているコンクリートは、遮蔽効果を向上させるために、緻密な高強度コンクリートとし、鉛含有の防錆剤にて表面塗装を行っています。
更に本製品では、ベントナイトを事前に膨潤させておくことにより、コンクリート容器内に水の層を形成することができます。水には遮蔽効果があるとされています。
その他
放射性物質がコンクリートの細孔へ入り込むと、これを除去することは非常に難しくなります。即ちコンクリート容器自体が線源となることが懸念されます。
そこで、コンクリート容器の表面を塗装し、細孔へ放射性物質が入り込むことを防止しています。
更に、鉛含有の防錆剤による塗装を施すことにより、耐久性向上や遮蔽効果の向上にも繋がります。

 

プレスリリース   2012年01月06日   admin
タグ:新製品
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